「いろんなギフテッド」の判別法

アメリカのギフテッド教育は、ギフテッドという定義そのものやその
判別法、そして教育方針やプログラムなど、それぞれの学区
(school district) によって違ってきます。

学区によっては、ギフテッドの子達が他の子供達とは別のクラス
や別の学校に集められて学ぶ「別クラス方式」や、普通のクラス
にいながら、知的挑戦になるような特別の課題を与えたりする
「エンリッチメント方式」などといったプログラムを積極的に
導入しているところもある一方、GATEプログラムなど一切
なかったりするところもある、といろいろ。

うちの学区の様に、教育予算の関係で存在していてプログラムが
廃止されてしまう事も少なくありません。

又、各学区により、「ギフテッド」の定義が変わってくるという事も
あり、ギフテッドプログラム参加の選別方法も様々です。

選別方法の一つとして、よくIQ(知能指数)テストの値を採用して
いる学校も未だ少なくありません。

一般的にギフテッドと呼ばれる値はIQ130以上(上位2%)と
言われ、多くの学区がこの値をギフテッドプログラムの参加
基準値にしているようです。

ただ、このIQ130という数値は、多くの場合が全検査IQ
(full scale IQ)
を示しています。

全検査値は、ウェクスラー式のWISC-IIIの場合、言語性、動作性
を含む全ての下位検査の総合値であるので、各分野に著しい
数値差がある場合(能力のアンバランス)、総合的に130以上の
数値がでにくくなります。

例えばこの様な数値の子がいたとします。

言語性 IQ 131

動作性 IQ 95

全検査 IQ 115


言語性 IQ 131という数値から、この子は明らかに
言語的ギフテッド(verbally gifted)です。

でも、動作性との大きな数値差により、全検査IQ が115と、ギフテッド
プログラム参加の基準に満たさない事になり、学区側がこの基準に
断固として従う場合(結構みられるケース!)この子は支援のチャンス
を失う事になります。

現在アメリカでは、多くの学区でギフテッド判定法のIQテストとして、
WISC-IV (ウェクスラー式の最新版)が採用されています。

この最新版は、WISC-IIIから特定の下位検査が除去されたり、
逆に新しい下位検査が加えられりしただけでなく、群指数の
表わし方も変ったようです。

WISC-IV 群指数と全検査値

・言語 (VCI)―「単語」、「類似」、「理解」 *「情報」と「言葉理論」は選択性
・動作 (PRI)―「積木」、「画像の概念」、「マトリックス理論」 *「完成」は選択性
・作業記憶 (WMI)―「数唱」、「文字、数字の順番」 *「算数」は選択性
・処理速度(PSI)―「記号」、「符号」 *「取り消し」は選択性

・全検査値(FSIQ)―上記4群指数の総合数値



アメリカはコロラド州にある有名なギフテッド研究所
The Gifted Development Center’s (GDC)のデータによると、
このギフテッドセンターでテストしたギフテッドの子供達のWISC-IV
の平均スコアの結果は下記のようだったそうです。

・言語指数(VCI ) 131.7

・動作指数(PRI) 126.4

・作業記憶 (WMI) 117.7

・処理速度 (PSI) 104.3

・全検査値(FSIQ) 127.2


ご覧の通り、言語指数は130以上、又動作も126.4と優れた数値
にもかかわらず、平均的な数値である処理速度によって、全体の数値
がさがり、全検査値が127.2と一般に言われる130というギフテッド
の数値に達していません。

The Gifted Development Center’s (GDC) のディレクターである
Dr. Linda Silvermanは、「一般に「ギフテッド」と聞くと、皆が素早い反応
を持ち、処理速度に優れているという憶測や概念を持ち気味だが、実際は
素早い子もいるし、中には熟考し、ゆっくりと物事を考えたり、又完璧主義
のゆえに念入りに動作を行い、速度が落ちる場合もかなり見られる」と
言ってます。

又、多くのギフテッドの子供達は"意味の深い作業”に反応し、簡単に数字
を暗唱したり、ただ記号を移し書いたり、といったあまり意味のない作業に
興味を示さず、その数値が結果として現れるのではないかとも述べています。

(Who are the Gifted Using the New WISC-IV? 参考)

更に、(Keith, Fine, Taub, Reynolds, & Kranzler, 2004) によると
Good Measures of g (ギフテッドの要因を計るのに最適な検査)は

Arithmetic .768 (算数)
Vocabulary .751 (単語)
Information .748 (情報)
Similarities .733  (類似)


となっており、ほとんどが「言語指数」に含まれている検査です。

ちなみに
Fair Measures of g (かなり良い測定の検査)

Matrix Reasoning .687 (マトリックス理論)
Block Design .672  (積み木)
Word Reasoning .648 (言葉理論)
Comprehension .646  (理解)
Letter-Number Seq. .621 (文字、数字順番)
Picture Completion .616 (完成)
Picture Concepts .582 (画像の概念)
Symbol Search .568 (記号)
Digit Span .525 (数唱)


そして、あまり当てにならない検査
Poor Measure of g

Coding .454 (符号)


と言ったように、処理速度の下位検査である「記号」、「符号」は
ギフテッドとしての要因ではあまり高い位置にないみたいなんです。

それなのに、作業記憶や処理速度の群指数が(平均値、もしくは低め)
の為に、全検査値がギフテッドプログラムの基準に満たず、サービスが
受けられないという事はなんともふがいないことです。

考えてみれば、多くのADHDの子供達は言語性、動作性は優れた
数値をだしていても、作業記憶や処理速度の数値が低いという
プロフィールがよく見られます。

そこで、現在アメリカのギフテッド専門家達の間で唱えられている、
更に範囲を広げたギフテッド判別法というのが、
The General Ability Index (GAI)と言って、本来
ギフテッドの判別の要因がもっとも含まれているといわれる6つの
下位検査、単語、類似、理解、積木、画像の概念、マトリックス理論
の総合数値をギフテッドプログラム参加基準の対象にするという事
が推薦されています。

The General Ability Index (GAI)
(一般能力群指数とでも言いましょうか?)

GAI=言語群指数+動作群指数

これならADHDや学習障害で作業記憶や処理速度の数値が
低くても、言語や動作の能力が認められ、ギフテッドプログラム
などのサービスを受ける事ができます。

又、学区によっては「能力」というものは、必ずしも総合的なものでなく、
(総合的なギフテッド(globally gifted)の人もいますが...)言語的
に優れていたり、動作的に優れていたり、それぞれ様々だ、という概念
を理解し始め、言語性IQ130以上、とか動作性IQ130以上と言った
ように、部分的指数だけでも受け入れるところも増えてきています。

そうなれば、今までふるいからこぼれ落ちていた「ある一定の能力」を
持った子供達も、更に可能性をどんどん伸ばしていく事が出来るん
じゃないでしょうか。

アメリカでも日本でも、こういった「特殊な層の子供達」の理解を深め、
更に彼らのあらゆる能力を伸ばしていってあげる努力を続けていく
ことが大変重要だと思います。

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by mathkid | 2010-10-10 18:05 | ギフテッド/2E

数学が大好きな14歳の2E kid(ASD&ギフテッド)あーちゃんの日記。 カリフォルニアからネバダに引っ越し新しい学校へ通い始めました。凸を伸ばし凹を支援の精神で頑張ってます。 目指すはMIT or Caltech!


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