言語性知能が優れているのになぜ?

自閉症診断以来、あーちゃんはこれまでに様々な知能検査や
学力検査を受けてきました。

2歳9ヶ月の時、自閉症アセスメントの一貫として受けた
「Bayley Scales Of Infant Development」という幼児用
の知能テストでは、当時まったく言語が無かったということや、
テストしたサイコロジストの指示をまったく無視したりと問題行動
も多かったせいか、IQが78と知的障害のボーダーラインを
さ迷っているとでました。

そして、ABAセラピー開始から一年後、ウエックスラー式知能検査の
WPPSI-III(Wechsler Preschool & Primary
Scale Of Intelligence-III、
2歳6ヶ月から7歳3ヶ月までの
幼稚園児達用の知能検査)の結果、全検査IQが118にまであがりました。

このテストを受けた時点では、まったく言語がなかった状態から、
会話ができるようになって丸一年も経っていなかったのですが、
言語性IQも101と4歳の時点でなんとか平均値へ追いつく
事ができました。

その時点での動作性IQが127だったという事で、私達はてっきり
「あーちゃんは言語性よりも動作性に優れている」と思っていました。

ところが、その後受けた数々の知能検査の結果、年を追って
言語性IQがどんどん向上していき、6歳の時に受けたWISC-IV 
(6歳から16歳までの子供対象のウエックスラー式知能検査。
WISC-IIIの更新版で、現在アメリカではほとんどこのバージョン
が使用されてます。)では、遂に言語性IQが動作性IQを超えて
しまいました。

その後の検査でも、言語性IQは更に向上していき、もっとも最近の
WISCの結果は言語性IQ(VCI-Verbal Comprehension
Index)が158(99.9パーセンタイル)、そして更に、作動記憶 (WM)
(WISC-IIIでは注意記憶 (FD) が144(99.8パーセンタイル)
と、あーちゃんが言語と聴覚優位なのが明白でした。

(動作性IQも131や139まで向上し、こういった指数も決して
軽視している訳ではありませんが...)

このように言語能力に優れているあーちゃんは、確かに年のわりには
語彙も豊富で、私などこの頃会話をしていても、理屈で言い負かされ
たりする事もしばしば。

ほっておいたら一人でありとあらゆる話題を、大学の教授の様な口調で
マシンガンのようにぺらぺら話し続けます。

ところが! そんなあーちゃんなのに、レストランで自分のオーダーを
したりとか、スーパーマーケットで簡単なおしゃべりとか、電話での会話
とかといった、たいして言語のスキルを必要とするまでもない簡単な
やりとりとなると、口を貝のように閉じてしまって一切開こうとしない
ではないですか!

一度などは、2年生の算数の時間、ものさしを使って線の長さを測る
ペーパーテストの時、自分の机の中にあるはずのものさしを失くして
しまい、計れないので回答無記入で提出。得意な算数なのに、
悲惨なテストの結果となってしまって落ち込んでいました。

先生は「ものさしがなかったのなら別のをかしてあげたのに...
どうしてそう言わなかったの?」

と聞くと、あーちゃんはまるっきりそういう事が頭に浮かばなかったらしく、
「I don't know...」と言ったそうです。(はぁ~まったく!)

これは完璧に「問題解決のスキル」(Problem solving skill)
が欠けていることを表わしています。

私は、(言語性知能が優れているのになぜこういう簡単な
事がいえないの?!)
と不思議で仕方がありませんでした。

この様に、コミュニケーションを円滑に行う為には、語彙の幅広さ、
文法、読解力、又は発音といった言語能力に加え、実際にあらゆる
状況や場面でそれに適した言語を用いる幅広い能力が重要なのです。

この能力は、「語用論的能力」(Pragmatics)と呼ばれています。

一言に「言語能力」と言っても、それは大きく二つに分かれていて、
文法や語彙、音韻、語形成、統語などといった言語の仕組みに
関する構成能力と、現実の場合で適切に言語を用いる、この
語用論的能力から成っているのだそうです。

一般的に見て、比較的言語に問題が無いように見える高機能自閉症
やアスペルガーの中でも多くの自閉症の人達はこの「語用論的能力」
が欠けている場合があるそうです。

あーちゃんも例にもれず、まったくその通り!

知能検査で計りやすい言語構成能力はあっても、それを実際の場
で状況に応じて使いこなせてないのです。

この「語用論的能力」はスキルなので、認知的アプローチで練習して
向上する事も可能です。

あーちゃんが受けていたABAセラピーのプログラムの中にも「会話の
スキル」や「問題解決」のプログラムといって、あらゆるシチュエーション
やシナリオのもとにこういったスキルを練習していました。

セラピー後、私はお馴染みのSuper Duperの教材でこういった
スキルの練習をゲームやおしゃべり感覚でやったりもしました。

これはその教材のひとつ。 Super Duper のサイトより
Practicing Pragmatics Fun Decks
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・隣に新しい人が引っ越してきました。 何といったら良いでしょう?

・パーティに呼ばれましたがすでに他に用事があります。 何といいますか?

・学校の廊下でお金を見つけました。 どうしますか?

・サンドイッチの作り方を説明しなさい。

・ランチのお金を忘れました。 どうしますか?

などといった、日常生活の中で必要なコミュニケーションや問題解決
のスキルが練習できます。

私は今では外出の際、店などであーちゃん自身に支払いさせたり、
物を注文させたり、電話で会話をさせたり、となるべく実用的な言語
を応用できるよう練習させています。

そのせいか、この頃はいろんな状況に対応する事ができるようになり、
少し自立心や自信もつけていってるみたいで非常に満足そうな様子。

「言語能力や知識はただ隠しもっているだけじゃ意味がない。 
その能力を日常の生活の中で、実用的に活かせる事で初めて意味が
あるんだよ!」

と私がいつもうるさく言っている意味がなんとなく解ってきたようです。

それでも家では相変わらず、人が聞こうが聞くまいが、一人でだらだらと
うんちくをならべてますが...

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by mathkid | 2010-07-19 15:09 | 自閉症/障碍

数学が大好きな14歳の2E kid(ASD&ギフテッド)あーちゃんの日記。 カリフォルニアからネバダに引っ越し新しい学校へ通い始めました。凸を伸ばし凹を支援の精神で頑張ってます。 目指すはMIT or Caltech!


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